昨日のこのブログでノーベル文学賞は誰が受賞するのか、といったことを書きました。
受賞したのはドリス・レッシングという英国人女性でした。
私が名前をあげた人はかすりもしなかったですね。
思い切り空振りしてしまいました。
参考までに当社ではナディン・ゴーディマという南アフリカのノーベル文学賞受賞者の作品を二作刊行しております。
「ブルジョワ世界の終わりに」と「マイ・サンズ・ストーリー」の二作品です。
レッシング氏も50年にわたってアフリカに住んでいたということなので、ゴーディマと共通点があるかもしれません。
読書の秋にノーベル文学賞作家の作品を読み比べてみるというのはいかがでしょう。
Topics
08.07.14 第15回「東京国際ブックフェア」に出展しました。
08.07.10 【Web連載】「かとちえ短歌ストーリー」第6回テーマ「プール」更新しました。
08.07.02 【English Page】を追加しました。
08.05.13 【あたらしい本】『狙え!150点アップ TOEIC®テスト 14日間の直前プロジェク ト』をアップしました。
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漢字でよむ おくのほそ道 第13回
尿前の関

2007年7月18日
尿前の関
■ 原文 ■
南部道遙にみやりて、岩手の里に泊る。小黒崎・みづの小島を過て、なるごの湯より尿前の関にかゝりて、出羽の国に越んとす。此路旅人稀なる所なれば、関守にあやしめられて、漸として関をこす。大山をのぼつて日既暮ければ、封人の家を見かけて舎を求む。三日風雨あれて、よしなき山中に逗留す。
蚤虱馬の尿する枕もと
原文出典:『芭蕉 おくのほそ道』岩波書店
■ 訳 ■
平泉からは、南部方面へは向かわず、南下して、宮城県の岩出山に宿泊。更に、小黒崎・みづの小島を過ぎ、鳴子温泉を経由して、尿前の関から出羽の国に越えることにする。
この、尿前越えといわれる路は、旅する者が少なく、また、関守たちも警戒心が強く、はらはらしどおしで関を越える。
この尿前越えまたは、中山越えといわれる峠を越えた時は、すでに日没。
国境を守る役人の家、いわゆる封人(ほうじん)の家を見かけて、宿泊させてもらうことにする。
…3日間、暴風雨のため、やむなくこの山中に逗留することになったのであるが、そこは、一晩中蚤や虱にせめられ、その上、枕もとでは馬の尿する音。
なんともわびしい旅寝であった。
蚤虱馬の尿する枕もと
■ 注釈 ■
封人の家
宮城県小牛田(こごた)から山形県新庄市に通ずる鉄道、陸羽東線。
その、山形県側最初の堺田(さかいだ)駅の近くに、「封人の家」がある。
建物は茅葺屋根の平屋で、普通の農家。
芭蕉さんの実際に宿泊したその建物が現存している。
居室と土間を隔てて、屋内に2頭分の馬屋があった。
深山を越え行く描写
…旅は、尿前の関のある堺田からは山刀伐峠(なたぎりとうげ)を越え尾花沢に到る。
その、深山をゆく描写は、「おくのほそ道」のなかでも屈指の名文である。
それは、
…あるじの云にたがはず、高山森々として一鳥声きかず、木の下闇茂りあひて、夜る行がごとし。雲端(くもは)につちふる*心地して、篠の中踏分踏分、水をわたり岩に蹶て、肌につめたき汗を流して、最上の庄に出づ。…
となっていて、これぞ、日本の文語調の名文。
昼なお暗い深山を、一行が息をつめて通りすぎるその様子が目に見えるようである。
* 「雲端につちふる」
竜巻のような天候であろう。突風に、巻き上げられた砂塵が、雨とともに降ってくる、そのような天候をいう。
【著者プロフィール】 伊東信夫(いとう・しのぶ)
1926年、山形県生まれ。白川漢字学の系譜に連なる漢字研究家。
1947年、山形の冬季分校の教師となって以来、長く教職に携わる。
現在は、漢字学の研究と共に、子どもや教師たちに漢字のおもしろさを伝えるため、各地で講演するなど、活躍中。主な共著書に「漢字カルタ」「漢字はみんな、カルタで学べる」「漢字がたのしくなる本」シリーズ(いずれも太郎次郎社)、「成り立ちで知る 漢字のおもしろ世界」シリーズ(スリーエーネットワーク)がある。
現在、立命館大学 白川静記念東洋文字文化研究所客員研究員。
